平成30年、パート労働力を考える
所得税の配偶者控除における"103万の壁"が150万に拡大しました。
新たな人材確保が難しい今、既存のパートさんの労働力にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
時給の急上昇と労働時間の減少
1.パート・アルバイト平均時給(経理代行調べ。平成29年10月現在)
人材不足が顕著なサービス業の時給高騰により、専門職が多く、比較的時給の高い医療・福祉系と一般業との差が少ない結果となりました。
医療・福祉系 | 1,078円 |
---|---|
医療系以外の一般業(製造業、サービス業 他) | 1,020円 |
2.パート時給推移(厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成28年度分結果確報」より)
時給が急速に上昇し続けるため、パート労働時間は扶養の壁の影響で減少、平成28年の総実労働時間は86.8時間/月となっています。
税扶養の壁が150万になったから、150万まで働いてもらえる?
・・・答えはNOです。パートさんには壁がいろいろありますので、簡単に整理してみましょう。
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基 準 |
内 容 |
第一の壁 |
収入130万以上 |
ご主人の社会保険の扶養からはずれます。 |
第二の壁 |
労働時間・日数が 社員4分の3以上 |
パート本人が社会保険に加入しなければなりません(従業員数500人以下の社会保険加入事業所の場合)。130万の壁と混同する方が多いですが、要件を満たせば、130万以下でも社会保険加入となり、本人も会社も保険料の負担が発生します。 |
第三の壁 |
収入150万超 |
所得税の配偶者の控除の壁。103万から150万に拡大しました。 |
第四の壁 |
家族手当の支給要件 |
税扶養、社会保険の扶養などの要件がある場合が多いので、ご主人の会社の規定を確認していただく必要があります。 |
社会保険料負担と家族手当が本当の「壁」
所得税の扶養からはずれても、働いた分より税金の方が多いということはありませんが、社会保険加入と家族手当の支給停止は収入によっては"働き損"になってしまいます。労働契約の際に特に注意したい項目です。
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事務所通信 309号(18.1).pdf
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■平成30年、パート労働力を考える(発行:税理士法人成迫会計事務所、㈱経理代行)